>読書感想><small>C.K.オグデン 「ことばの魔術」からの出口を求めて</small>

>読書> C.K.オグデン 「ことばの魔術」からの出口を求めて

 この本は、(英語を基に、特に動詞の簡約を提唱した)ベーシック・イングリッシュの考案者として知られるC.K.オグデンの人物像、およびベーシック・イングリッシュ発案までの背景を、丹念な調査・研究をもとに述べたものです。

感想

 コンピュータと人間の対話に用いるプログラミング言語は実に単純であり、文形は三つ、動詞は最低三つから構成されているにすぎません[注1]。 時間と共に変化することもありません。
 一方、人間社会の対話に用いる自然言語、たとえば英語ははるかに複雑で、しかも200年もすれば後世の人達には理解困難になってきます。
 時空を越えて多様な人類の要求に答えるべく、自然言語は複雑化し、変化してきました。 これは、言語習得を困難にしてきます。 この問題点を130年前に感じ、それへの回答としてベーシック・イングリッシュを提唱したのが、C.K.オグデンです。

 プログラミング言語と比較するに、動詞に注目し、しかも具体的に目に見えるものに厳選したのがオグデン流の肝だと思います。 これにより、実社会で生きて行くのに、取りあえず必要なスキルを早期に習得するのが容易になるのではないでしょうか。
 コンピューターの進歩により、名詞などの選択は、当時より容易になってきました。 また、教育用と考えると、地域ごとの実情に合わせ、時代に合わせて行くことも必要でしょう。
超人的な活動をした人の、発想の軌跡をたどるのも参考になります。

 言語に興味を持っているすべての人に、お薦めの本です。

[注1] 文形は三つ: 逐次実行文、分岐文、繰り返し文です。
動詞は最低三つ: 代入(=)、+、−です。

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基本情報

 書名: #C.K.オグデン 「ことばの魔術」からの出口を求めて
 著者: #相沢佳子さん
 ISBN:  #978-4-389-50113-6
 出版日: 2019-11-22
 出版社: #清水書院
 読書日: 2019-12-03

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