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佐藤和夫>読書> 海軍さんの料理帖

 日本海軍レシピが、明治から昭和まで、時系列で紹介されています。
長期間の運搬が必要で、重くてしかも腐りやすい食料、調理に狭い空間など、海軍ならでの制約があります。 その中でレシピは、主に上官向けのものが紹介されているので、さながらレストラン料理のようです。
本書ではさらにレシピのみならず、その時代時代の歴史背景、調理室の環境、食料の保管状況、など、多方面に紹介されています。
これを背景に、各船に調理専門コックがいます。 コックの階級や人間関係にも触れています。
 以上のように、話題がレシピのみならず、食をキーワードにしながら、自ずと海軍の歴史を語るという、かなり盛りだくさんな内容になっています。
 出色なのは、メニューは時代考証されて再現されている事です。 食べてみた感想が書かれています。 いわく、たとえば海軍カレーは、現代から見るとひと味足りないとか・・・

感想

 食は文化なり、とは良く言ったもので、海軍の様子、日本社会の様子が分かります。
 たとえば、
  1. 明治初期は兵士が自分で食事を作っていた。 その結果、兵士は米ばかり食い、結果、脚気がはやってしまった。
  2. 脚気対策として、食事は専門のコックが作ることになった。 メニューは、脚気に良いと考えられたパン食を主とした西洋料理が採用された。
  3. その当時、西洋料理はなじみが薄く、兵士から猛烈な反発を食らった。 そこで、徐々に米飯も提供されるようになった。
  4. 西洋料理は、兵士を通じて徐々に日本の中に受け入れられていった。
  5. 第一次世界大戦後、世界進出を視野に中国料理も提供されるようになり、これも日本社会に受け入れられるようになった。
 大変美味しそうな46のレシピが並んでいますが、上級士官向けのものが多く、海軍では・・・となると、若干違和感があります。

 日本の歴史や食に興味がある方々にお薦めの本です。 かなり力作ですので、期待以上のものがあると思います。

 追記です。 戦艦「伊勢」のメニュー、「ホワイトシチュー 素麺」を作って見ました。
結構いけます。 「ホワイトシチュー うどん」とか「ホワイトシチュー スパゲッティ」と違ったのどごしで、これはこれでありですね。 素麺業界が、素麺の新しい食べ方として、推しても良さそうです。
「カレー 素麺」なんかも、ひょっとしたらいけるかも知れません。

基本情報

 書名: 海軍さんの料理帖
 著者: 有馬桓次郎さん   絵: 朝日川日和さん、れつまるさん
 ISBN:  978-4-79-861483-0
 出版日: 2017-08-25
 出版社: ホビージャパン
 読書日: 2021-01-24

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