佐藤和夫>読書感想>カブトガニの謎: 2億年前から形を変えず生き続けたわけ

佐藤和夫>読書> カブトガニの謎: 2億年前から形を変えず生き続けたわけ

 甲羅の中にカニが隠れているようなカブトガニは、隕石の衝突など、何度もあった生物大量絶滅の危機を乗り越えて、2億年前から形を変えず生き続けてきました。

 この本は、カブトガニ研究に一生を捧げ、来年は退職という著者が、総力を挙げてカブトガニを取り巻く話題を、わかりやすく説明するものです。
 さらに、カブトガニは2億年前誕生というが、実はもっと古く4億年前にさかのぼるのではないか、という進化の最新研究が語られています。
また、カブトガニ研究において、何がまだ解明されていないかを具体的に指摘しています。

感想

 三葉虫から進化し、2億年前から進化を止めて生き続けたわけは、汎用化と特殊化のどちらを選ぶべきかを考える上で参考になるかも知れません。
カブトガニは、干潟という狭い敵の少ない環境のなかで、三葉虫から2億年以上かけて、2億年も前に「新たに進化する必要がないほど、環境に適した体と生活スタイルを確立していた」からです。 言い換えれば、特殊な環境に、高度に適応することで、生き延びてきたのです。 干潟は幸い、2億年間続いてきました。

 裏返せば、環境変化対応(汎用化)を諦める道を選んだわけです。 カブトガニは、現在苦境にありますが、それは人間が干潟を減らした影響で、それに対応出来ない結果です。
ただし、生物大量絶滅の危機の中、環境対応せずに生き延びてきたのは、選んだ環境がたまたまよかったことのほか、干潟で生きるために迫られた、危機に強い生活スタイルを確立していた(特殊化)したおかげでしょうか。

 印象に残るのは、解明されていない研究テーマが沢山指摘されていることです。 この本は一般向けに書かれた内容ですが、これ一冊で著者の研究生活すべてを語っているような、渾身の作という印象を持ちました。

 カブトガニ好きはもちろん、環境問題に関心がある人、人類進化の方向性について考えている人には、この本を読まれることをおすすめします。

タグ: #読書感想#カブトムシ#干潟#なぜ長生き#生物大量絶滅#生活スタイル#三葉虫#進化

基本情報

 書名: カブトガニの謎: 2億年前から形を変えず生き続けたわけ
 著者: 惣路 紀通さん
 ISBN:  978-4-416-11535-0
 出版日: 2015-07-15
 出版社: 誠文堂新光社
 読書日: 2022-8-18

他の記事もご覧ください。